先日、ウェブ担当者同士で検索エンジンの仕組みについて話す機会があったのですが、その中で、GoogleとYahoo!の仕組みに焦点がいき非常に話が盛り上がりました。検索順位が一緒だという方もいれば、検索順位が違うという方もいて、それぞれウェブ担当者によってまったく見解が違いました。

しかし、よく考えてみると、GoogleとYahoo!では検索順位になぜ違いが起きるのか、知らない方も多いと思います。また、検索結果を比較することなく検索順位が同じものだと信じている方もいるでしょう。もしかして、現在、検索エンジンへの理解を高めるにあたり、下記のようなことをお考えではないですか?

  • GoogleとYahoo!では、なぜ検索順位が違うのか知りたい!
  • GoogleとYahoo!は、同じ検索エンジンを利用していると聞くけど、ホントなの?
  • この機会に検索順位の仕組みを完璧に理解しておきたい!

もし、上記ついて自分と何かひとつでも思い当たることがある場合は、本記事を最後まで興味を持って読んでいただけると思います。今回は、GoogleとYahoo!における検索順位の仕組みの違いやGoogleが理想とする検索エンジンの特徴について解説していきます。

GoogleとYahoo!は、同じ検索エンジンの仕組みを利用している

まず、検索エンジンの仕組みについて根本的なところから理解していきましょう。実は、GoogleとYahoo!は、同じ検索エンジンの仕組みを利用しています。同じような検索技術が利用されるようになったのは2010年あたりからです。そのため、GoogleとYahoo!では、ほとんど同じような検索結果が表示されます。

しかしながら、“検索結果がほとんど同じ”なのであって、“完璧に一致”しているわけではありません。こういった点について、正しく理解するために、検索エンジンの技術について確認してみます。

Google パートナー企業が検索エンジンの仕組みを利用している

現在、Googleは、検索順位を大きく支配する強力な基盤を作りあげています。私たちがインターネット上でビジネスをするには、Googleの仕組みを理解し、そのルールに合わせていかなければいけません。しかし、なぜ、これほどまでにGoogleが支持されるのでしょうか?その理由は、Googleの検索精度の高さにあります。

Googleは、どの検索エンジンよりも自社のデータベースを最適化する技術が優れており、年々、検索結果のパーソナライズ化が進められていることでも注目を集めています。そのため、さまざまな企業がGoogleの恩恵にあずかりたいと考えています。優良な検索システムでビジネスを展開すれば、優良な見込み客を集客できるからです。

現在、Googleは、この検索技術をGoogleパートナー企業に提供しています。そしてまた、Googleパートナー企業は、Googleの検索エンジンの技術を利用してビジネスを展開しています。

こういった背景はあまり知られていないのですが、Googleとパートナー関係にある企業がGoogleの検索エンジンの仕組みを導入しているため、検索結果が同じようなものになってしまうということです。

GoogleがYahoo!に対して検索技術を提供し始めたのは、いつから?

GoogleがYahoo!に対して検索技術を提供し始めたのは2001年からです。そこから2004年まで、継続的に検索エンジンの提供を行ってきました。そして、2010 年 7 月より、本格的にYahoo!に対して検索技術のライセンス提供をスタートしています。

これにより、Yahoo!は、世界的にも最先端であるGoogleの検索技術が利用できるようになり、ユーザーの満足度を上げることに成功しています。

Googleは、検索技術を提供するにあたって、それぞれの会社で検索結果をカスタムできるように、ちょっとした工夫を加えています。たとえば、Yahoo!には、Yahoo!ショッピングやYahoo!オークション、Yahoo!知恵袋などの企業独自のサービスを最適化できるように仕組みを提供しています。

企業独自のサービスを検索結果で上位表示できるようにすることで、企業のビジネスにマッチングする仕組みを提供し、サービスの利用者の満足度を高めることに成功しています。

検索エンジンをカスタマイズできるため、検索結果が同一にはならない

Yahoo!は、Googleの検索技術を利用することで、自社のユーザーに最適化された検索結果を提供できるようになりました。仕組み自体は、Googleの基盤を利用していたとしても、Yahoo!オークションやYahoo!知恵袋を優先的に上位表示できるため、Yahoo!独自の検索結果となっています。

このような理由からGoogleとYahoo!が同じ基盤を利用していたとしても検索結果が完全に同一にはならないということです。

GoogleとYahoo!の検索エンジンでは何が異なるのか

ここで改めて、GoogleとYahoo!の検索エンジンでは、具体的に何か異なるのかについて解説していきます。ここでは、視覚的な違いについて焦点を当てていきたいと思います。

おすすめコンテンツの内容が異なる

検索エンジンを利用していると、特定のキーワードに対しておすすめコンテンツが表示されることがあります。検索画面の一番上に表示されるコンテンツで、この部分がGoogleとYahoo!では、異なっています。どちらも基本情報を掲載しているのですが、内容が異なることがあります。

広告掲載に大きな違いがある

Yahoo!とGoogleでは、大きく広告プラットフォームの根本的な部分が変わります。たとえば、Googleでは、「Googleアドワーズ」と呼ばれる検索エンジン向けの広告サービスが提供されています。一方で、Yahoo!では、「スポンサードサーチ」と呼ばれる仕組みが提供されています。

広告の提供元が異なるため、どうしても違う内容が表示されてしまいます。しかしながら、同じ企業が同じ商品を広告出稿システムに登録していると、さまざまな広告サービスで同じ表示結果となることがあります。

パーソナライズド検索によって表示結果が変わる

Googleには、パーソナライズド検索といって、ユーザーごとに検索結果をカスタマイズし、表示する機能があります。たとえば、検索ユーザーの所在地やTwitter・Facebookなどのソーシャルメディアとのつながり、検索したいキーワード、過去に閲覧したWEBサイト情報などから、検索結果をアレンジしていきます。

この機能によって、検索結果が検索ユーザーに合わせてアレンジされるため、検索結果が変わってしまうことがあります。この点については、Google Chromeなどのシークレットモードなどを利用すれば、本来表示されるべき検索結果を見ることができます。

なぜ、GoogleとYahoo!では、検索結果が異なるのか

先ほどは、GoogleとYahoo!では検索結果が異なることを説明しました。しかしながら、なぜ検索結果が異なってしまうのか、その理由について説明できていないため、さらに深掘りしていきたいと思います。

検索エンジンのクローラーの巡回や読み込み時間に違いがある

たとえば、ウェブサイトでコンテンツを公開した場合、GoogleとYahoo!では、同じような順位で掲載が始まると考えている方が多いです。しかし、ここに大きな違いがあります。

GoogleとYahoo!では、クローラーの巡回時間が異なるため、初期の段階で検索結果が同じになることはありません。また、検索結果として反映される時間が異なるため、同じような検索結果にはならないということです。しかしながら、情報の読み込みに多少の違いがあるものの、一時的な違いだけですので、数時間後には同じような検索結果となります。この点については、検索エンジンを注意深く見ていると気がつきます。

アップデート情報が共有されていない

GoogleとYahoo!では、最終的に同じ検索順位になるからといってアップデートまで共有しているわけではありません。たとえば、最近だとヴェニスアップデートが行われましたが、このアップデート情報が共有されていないのです。

それぞれが独自のサービスを提供している以上、別会社であることには変わりがないため、そこまで深くかかわっていません。アップデートを共有していないのは、それぞれに個別のビジネス背景があるからでしょう。だからといって、検索結果が大きく異なるわけではないため、多少の違いが生じる程度に考えておきましょう。

Googleの検索エンジンの目的とは?

Googleは、パートナー企業に対して、検索技術を提供していますが、どのような世界を作りあげたいと考えているのでしょうか。Googleの検索エンジンを理解するうえで、その目的を知っておくことは大切なことです。

Googleには、検索エンジンに対して、下記のような明確な目的があります。

(1)世界中の情報を整理したい。
(2)世界中の誰もが簡単に検索エンジンにアクセスできるようにしたい。

単純明快ではありますが、この2つのことを実現するためにGoogleは検索精度を上げ続けています。ここでGoogleの設立当初の目標をご紹介します。

Googleが設立当初から目標としていることは、“世界中の人たちが扱っている情報をすべて集めて整理すること”です。これがGoogleの最大の目標です。Googleがこの目標を追い続けているため、私たちはスマートフォンを利用すれば、いつでも気軽に検索エンジンにアクセスできるようになっています。また、アクセスできるにとどまらず、ユーザービリティやセキュリティ性など、細かなところまで配慮が行きとどいています。

Googleの社員にも収益を上げたいという気持ちがある

Googleの目標は、見ていて気持ちが良いほど、どんな人にも理解できる内容です。だからといって、そこに利潤を求める動きがないわけではありません。なぜなら、広告事業としてGoogleの検索エンジンを運用しているからです。

Googleが無料で検索エンジンを利用させている最大の目的は、自社のサービスをタダで利用してもらうことで膨大な人たちを自社のプラットフォームに集客するためです。集客した人たちに対して、広告を掲載することで収入を上げるビジネスモデルを提供しています。

実際にGoogleの利用率は非常に高く、月間の利用者は、7,226万人にのぼるといわれています。これだけの数のユーザーに対して、Googleアドワーズ広告を提供することで、膨大な広告収益を生み出し、精度の高い検索エンジンを作り上げるうえでの資金の基盤としています。

広告収益を上げるためにもユーザーに満足してほしい

Googleの広告事業の仕組みを理解すれば、なぜGoogleが検索エンジンのユーザービリティを高めていきたいのか、ご理解いただけると思います。検索エンジンの利便性を高め検索ユーザーの満足度を高めることができれば、すべて広告収入となって跳ね返ってくるからです。

優れた検索システムにより、適切に検索ユーザーを集客する仕組みを構築できれば、自然と広告媒体としての価値が高まります。検索エンジンの価値を高めるには、世界中の情報を検索ユーザーが適切にキャッチアップできるようでなければいけません。

たとえば、“最新のSEO対策”について検索しているにもかかわらず、20年前の対策方法がされてしまうと検索ユーザーが離れてしまいます。なぜなら、検索ユーザーの検索意図を適切に反映できていないからです。

検索ユーザーが求める検索結果を適切に表示するためには、Googleのアルゴリズムに検索ユーザーの検索意図を適切に理解させる必要があります。そういた思いがあるからこそ、ウェブ担当者は、“検索ユーザーから分かりやすいウェブサイト”を作る必要があります。

Googleが検索エンジンに求めていること

GoogleとYahoo!で検索結果が異なったとしても、検索エンジンイン求められる概念は、いつの時代も大きく変わらないため、ウェブマーケティング担当者が意識すべきことをご紹介します。

検索ユーザーの利便性を考えることが第一

Googleは、検索エンジンの開発当初から検索ユーザーの利便性を第一に考えています。根本的には収益を得たいという思いがあるものの、それ以前にユーザーの利便性を重視してきた歴史があります。

Googleの検索エンジンには、無駄な広告がなくシンプルだと感じたことはないでしょうか。これは検索ユーザーを意識した結果、シンプルな形をとっているからです。また、広告については、広告である事実を明記した上で、検索ユーザーにとって邪魔にならない場所に表示しています。

そのため、今後もウェブサイトの設計としては、広告収益よりもユーザビリティを意識したウェブサイトが高く評価され続けます。

1つのことを徹底的に追求している

Googleは、検索に関するさまざまな問題を解決する会社です。検索エンジン上で生じる問題をどのようにすれば解決できるのか明確に把握していると同時に、どうすればもっと上手くやれるのかということも理解しています。

なぜ、それだけ素早く適切な回答を導き出せるのかというと、あらゆる問題に対して幾度となく反復による検証を繰り返し、ユーザーに対して優れた検索サービスを提供してきたからです。そこには絶え間ない改善の歴史が存在します。私たちは、このGoogleの姿勢を見習って、情報にぶれのないウェブサイトを作っていく必要があるといえます。

そういった意味でも、情報発信をする際は、1つのことを徹底的に追求した、専門的で価値のあるウェブサイトを構築した方が良いでしょう。

Googleは、情報のスピードが速い方が良いと考えている

Googleは、検索ユーザーの貴重な時間を1秒も無駄にしてはいけないと考えています。そのため、検索結果を表示する際は、高速であることが絶対条件です。ここまで高速ブラウジングにこだわりを持っているのはGoogleぐらいでしょう。

ありとあらゆるサービスをGoogleから提供する際、その念頭には常にスピードに意識が置かれています。その事実が分かるサービスとしてGoogle Chromeがあります。Google Chromeは、サービス公開後から常にアップデートが実施され、検索スピードの向上を目的としたアップデートが繰り返し行われています。

そういった背景を理解すれば、ウェブサイトの表示速度と検索順位が大きく関係しているといわれる理由が理解できます。表示スピードの速いウェブサイトを構築できれば、それだけGoogleの理念に合わせることにつながり、表示速度の遅いウェブサイトよりも優先的に上位表示してくれるようになります。

検索は、どのような状況でもできるべきである

近年、スマートフォンの利用率の急激な上昇により、いつでもどこでもアクセスできることが求められています。実際にスマートフォン端末を利用すれば、検索はもちろん、動画やSNSなどの情報を、どんなところからでも閲覧できるようになりました。

こうした動きに対してGoogleは、世界中のウェブサイトに対して、スマートフォン化するように呼びかけを行い、SSLによる注意喚起を行っています。こういった動きから考えても、我々ウェブ担当者は、検索ユーザーの社会的な動きに合わせて自社のウェブサイトをスマートフォン化したり、ECサイトの情報セキュリティ性を高めていくことが求められています。

訪日外国人などグローバル社会を意識した検索エンジンによる多言語化

Googleが検索エンジンを構築する際、常に世界中の人にとって、便利なサービスを提供しなければいけないと考えています。実際にGoogleの検索エンジンは、130ヶ国語を扱うことができます。

検索ユーザーの意図に合わせて母国語だけの情報を表示することもできますが、言語を超えて多くの人が利用しやすいフォーマットを提供することを目標としています。

実際に、Googleは、翻訳サービスなども提供することで、本来なら言語や距離的な問題でかかわりを持つことがなかった、地球の裏側にあるコンテンツを楽しめる社会を実現しています。このような小さな取り組みが、検索エンジンの質を向上させ、利用者の増加につながっています。

だからこそ、私たちがウェブサイトを構築するときは、多言語化サイトを作りあげることで、どんな外国人にも親切なウェブサイトが完成するため、検索順位の上位に行ける可能性が高まります。

GoogleとYahoo!では検索順位の仕組みは一緒なのかのまとめ

GoogleとYahoo!では、基本的な検索エンジンの仕組みは同じです。上記でも説明したようにGoogleがパートナー会社に対して、検索技術を提供しているからです。

同じ検索技術を提供していますが、GoogleとYahoo!では、異なるサービスを提供しているため、検索エンジンのアップデートなどまでは、共有することがありません。また、Yahoo!知恵袋やYahoo!オークション、広告サービスなども、それぞれ独自の企業で展開されているものについては共有されることはありません。

しかしながら、検索結果で上位表示を考えるのであれば、Googleのプラットフォームがどのようになっているのか、具体的に理解することが大切です。それこそ、後半で紹介したようなGoogleの目標や検索エンジンに対する考えを参照することで、どのようなウェブサイトを構築するべきなのかが見えてきます。ぜひ、自社のウェブサイトに取り入れられる要素がないか参考にしてみてください。